11月に開催された3泊4日のインターンシップ「遠州のトビラ」が、12/2付の静岡新聞に取り上げられました。全国から集まった参加者が遠州産地の織物事業者で就業体験を行うこの取り組みは、昨年に続き2回目の開催となり、今年は16名の参加者を8社の事業所が受け入れました。産地全体で人材育成に取り組む姿勢が、徐々に成果を挙げつつあることが誌面でも紹介されています。
記事では、参加者の声に加え、昨年の第1回インターンシップをきっかけに古橋織布へ入社した新人スタッフ・柄本蒼史の現在の姿も取り上げられました。彼は現在、工場内で約20台のシャトル織機を管理し、糸切れや機械の停止に対応する「織り子」として日々技術を磨いています。伝統的な織機を扱う現場で若手人材が育っていることは、産地にとって大きな希望であり、次世代への継承の象徴とも言えます。
遠州織物は、分業制を支える職人の高齢化や後継者不足といった課題を抱えています。しかし、こうしたインターンシップを通じて若者のUターン就職や新しい担い手の確保につながっていることは、産地全体の持続可能性を高める重要な成果です。SNSを活用した情報発信や現場体験の機会を増やすことで、織物産地の魅力を広く伝え、担い手確保を目指す動きは今後さらに広がっていくでしょう。
古橋織布としても、柄本に続く新しい仲間が加わることを楽しみにしています。人材育成は企業単位にとどまらず、産地全体で取り組むべき課題であり、私たちもその一翼を担い続けてまいります。
一部本文を紹介します。ぜひご覧ください。
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遠州織物 人材確保 就業体験 決め手に
産地一体で協力 若者Uターンなど成果
伝統技術による品質の高さで評価される遠州織物。特徴の分業制を支える職人の高齢化や後継者不足が課題の中、繊維関係者が推進する人材確保策が徐々に成果を挙げつつある。昨年始まったインターンシップ(就業体験)は受け入れ事業者が拡大し、20代のUターン就職につながった。交流サイト(SNS)も活用して柔らかで高密度なシャツなどの最終製品を発信しつつ、職人の作業風景をはじめ現場に触れてもらう機会を増やし、産地一体で担い手確保を目指す。
~中略~
就職や転職、移住を考える人を対象に公募し、宿泊型で北海道から地元出身者まで20~60代の16人が参加した。受け入れも産元や染色、織屋など、昨年より3社多い8社が協力した。 「経営者たちの産地に懸ける強い熱意を肌で感じた」。昨年のインターンシップ参加を機に、都内の専門学校を卒業して4月から働き始めたのは柄本蒼史さん(21)。就職先の古橋織布(同区)は、国内外の高級服飾ブランドと取引があり、高密度に織り上がる生地の要は旧式の「シャトル織機」だ。柄本さんは工場内の約20台の稼働にくまなく目を光らせ、糸切れや機械の停止などに対処する「織り子」を担う。「遠州は車や楽器だけではない。技術を磨き、織物ももっとアピールしたい」と意気込む。